虎の誠意が届いた。石垣島での自主トレを中断し、関西空港に降り立った小林宏は「僕の中では阪神で頑張ろうと思っています。悩みましたが、熱心に誘ってくれましたので」と、メジャー移籍を断念し、阪神入団の決意を固めたと明かした。

　メジャーか国内か。ここ数日間、熟考を重ねた末の決断だが、迷いはない。「今日ぐらいに決めました。今はすっきりした気持ちです」と淡々とした表情で話した。

　リリカルなのは 抱き枕昨季終了後、小林宏はメジャー移籍を目指して海外ＦＡ権を行使した。しかし大リーグ６球団からのオファーは、いずれもメジャー４０人枠を保障されない「スプリット契約」。あくまでも本人はメジャー契約での移籍を希望していた。

　小林宏は２４日までに進路を決める考えを示していたが、その後も米球界の状況が動かなかった。そんな中「必要としてくれる球団で頑張るのが選手として一番幸せだと思う」と、虎に心が傾いた。メジャーへの未練もない。「今は全く考えてません。高いレベルで考えたら、野球に取り組む姿勢は変わらない」。阪神に骨をうずめる覚悟か、の問いには「そうですね」と“生涯タテジマ宣言”まで飛び出した。

　一方で阪神は、早々と、メジャー移籍が実現しなかった場合の獲得に名乗りを上げ、水面下で小林宏サイドと接触を重ねてきた。２０日の初交渉では、２年総額５億円（出来高を含む）程度とみられる条件を提示するだけでなく、本人が望むならば、ロッテ時代に慣れ親しんだ背番号「４１」も用意する構えだ。守護神・藤川の前に投げるセットアッパーとして大きな期待がかかるＦＡ右腕に対して、球団側も最大限の誠意を示すつもりだ。
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　初交渉を待たずして、『虎の小林宏』が事実上、誕生した。本人も既に、虎戦士としての自覚が満ちあふれている。「自分の力がチームの勝利につながるようにしたい。一つ一つ勝っていけば、優勝、日本一につながると思う」。６年ぶりのＶ奪回、そして２６年ぶりの日本一へ‐。何とも頼もしい右腕が虎投の一員になる。